●コンディショニングについて●

 

 ~ケアについて~

はじめにケアについての、私の基本的な考え方をお話しします。

 

まず、ケアをすると言うことは

 

”パフォーマンスの向上に直結”しています。

 

また、ケアのやり方と言うのは、

 

・普段やっている動作と正反対の動作をすること、

・普段まったくしていない動作をすること、

 

が基本です。

 

この考え方を覚えて頂くと、いろんなところで応用が効くと思いますので、それぞれで試してみて下さい。

 

ストリートダンスでよくある症状

 

・手首を床に着くと痛い。

・ずっと前に捻挫したのに、まだ痛みがある。

・背中が痛くて動きが悪い。

・腰の痛みが長引いている。

・首が痛くて(硬くて)アイソレーションがうまくいかない。

 

などなど、ジャンルによって他にもたくさんの例がありますが、まずは突然の怪我や長引く痛みに対して、どうすれば良いのかをお話しします。

 

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参考)ストリートダンス・ジャンル別の症例

 

 

(1)適切な治療

まずはその競技や個性に合った最適な治療が第一です。

 

できるだけ理解してもらえる医師や治療師に診てもらうのが一番です。

 

当たり前のことですが、日頃から他のダンサー仲間から、そういった病院や治療院などの情報を得る様にしましょう。

 

怪我や痛みがあったとしても、ダンサーやアスリートにとっては、“絶対安静”にすることよりも、

 

 

“どの程度までだったら練習しながら治療ができるのか?”

 

 

ということをアドバイスできるスポーツに強い治療師、スポーツドクターなどがいいですね。

 

では、どの様にそれらの医療機関を使い分けたらよいのか?という点について、私自身の経験からお話しさせて頂きます。

 

まず、勢いよくひねったり、ぶつけたりして、かなりの痛みを感じた場合、できる限り早く病院にて

 

“レントゲン写真”や“MRI”

 

などの画像診断を受けるべきです。

 

これで“膝の靭帯が切れた!”などと言う重大な損傷の場合、当然手術が必要ですよね。

 

骨折であれば完全な固定が必要です(数週間~数ヶ月)。

 

重大な怪我でなかった場合は、部分的な固定(数日~数週間)や、マッサージなどの手技療法、鍼灸治療などで、傷んで固くなった筋肉や靭帯を柔らかくし、血行をよくして回復を助けます。

 

私自身の過去の怪我では、鍼灸治療がよく効いた経験を持っており、それにマッサージやストレッチを加えることで更に良くなります。

 

 

 (2)正しい動きの習得

怪我の治りかけてきた時期は、治療だけでは症状の改善が停滞してくる時があります。

 

そうなると次の段階、治療にプラス、正しい動き方やトレーニング、ストレッチなどを加えることが必要になってきます。それにより、ある程度自分でケアができれば怪我も少なく、良いコンディションを保つこともできます。

 

この時期には、治療ももう少し継続する必要があるでしょう。怪我の後遺症や、長い時間をかけて硬くなった筋肉は、ストレッチなどの自分だけのケアで克服するのはかなり難しいと思います。

 

私自身も若い頃のプロ格闘技選手だった時に、いろいろな医療のお世話になりました。

 

ストレッチひとつでも、正確にその部分に効果を与えられているか、それは経験や感覚だけではなかなか分かりません。その為、治療や運動指導をする専門家の側にも、実践的な運動学の理解と、実際にその競技の動きを体の感覚として理解している事が必要であると感じます。

 

治療する側にある程度その競技の動きの感覚がないと、治療をする側と受ける側の感覚がちぐはぐなものになってしまいます。

 

身体に関してある程度は近いイメージを持ち、感覚を共有できる事により、はじめてよい治療ができる訳です。

 

 

私の場合は、自分が行ってきた武道(主に空手や太極拳)、ストリートダンス(主にポッピン、アニメーション)、器械体操、ウエイトトレーニングなどの経験から得た“独自の運動学”(関節の動き方など)により、どこの筋肉が動きにブレーキをかけているかを割り出して、意識しなくても楽に理想の動きができる様に、関節をニュートラルなポジションに戻すことなどを目指しています。

 

 

(3)人体の支点と軸

物には何にでも”中心点”(重心点)と言うものがあり、その物が動くためには必ず”中心軸”と言うものが存在します。

 

最近は、治療やエクササイズ指導などの世界でも、この中心軸が注目されている様です。

 

「軸、体軸、中心線、センター、重心線、運動軸」

 

など、様々な呼び名がありますが、だいたい同じ様なものと考えていいでしょう。

 

さらに中心点や中心軸に加え、人体の各部分に

 

“運動の軸”や“動きの始点”

 

となる部分があります。

 

これらを初めは意識的に、慣れれば無意識にコントロールできる様になれば、パワフルで楽に動けるわけです。

 

これは体験してしまえば誰でもできるもので、難しいものではありません。

 

実際に、治療院に来てくれている各ジャンルのダンサーたちのケアのために紹介している「調整体操」などは大いに役立っており(アイソレが楽になった・リズム取りが楽になった・パワームーブで手をつくのが楽になった、など)、30代から70代の主婦層に行っている「健康体操教室」、また私が個人で行っている「空手の稽古会」(空手や総合格闘技の現役選手などが参加しています)でもまったく同じ体操で効果が上がっています。

 

私が経験してきた武道の原理やストリートダンスの動きを医学的に分析し、誰にでも体感できる様なものを目指しています。

 

ともかく、治療も運動指導も、治療家やトレーナーなどの、ケアをする側の人間も、実際にそのジャンルの運動を、 

 

“体で分かっていること”

 

が重要なポイントであるのは間違いないでしょう。