●バレエの足使いと運動学(1)

 

 

最近、ジャズダンスをメインにやられるダンサーの方の治療や
コンディショニング指導の機会が増えてまいりました。

 

ジャズダンスも、クラシックバレエの基本をやりますよね。

 

 

私の娘が3歳から6年生まで、ずっとバレエをやっていたので、
バレエの方を治療したことも多々あり、
私自身も体験レッスンを受けたことあるんですね。

 

 

その時の印象に残ったことなんですが、
バーレッスンてありますよね、

 

腰の高さくらいに横に伸ばした棒につかまりながら、
いろいろな立ち方や、脚の上げ方などの練習法です。

 

 

私は何かにつかまりながら片足立ちをすると言う
経験がほとんどありませんでしたので、
バーをつかむとかえってバランスを崩し、やりにくかったんですね。

 

ですから、そ~っと軽くバーに触れる位にしたり、
時にはバーを離してやっていたんですが、
バレエの先生から

 

「木田さん、バーつかんでいいですからねっ!」

 

と2、3回は言われましたかね(笑)

 

 

武道経験が長かったものですから、
爪先立ちからゆっくりと片足立ちに移行する際なども、
何もつかんでない方が、バランスが取りやすいのです。

 

たぶん、太極拳などを長くやられた方は
お分かりかと思います。

 

う~ん、その人のベースとなっている運動によって、
いろいろなことがあるんだなあと感じた次第です。

 

 


さて、今回はそんなバレエやジャズの話です。

 

 

まず、

 

“アンドゥウォール”

 

と言うものがありますよね。

 

 

脚全体を股関節から外側に開く、または開いた状態で立つ、
と言う意味ですね。

 

 

ジャズやバレエダンサーの方からよく頂く相談で、

 

「右は開くのに、左は開かないんです・・・」

 

「足裏を合わせて開くストレッチで膝が両方とも開かなくて・・・」

 

 

と言うものがあります。

 

 

これとポアント、つまり爪先立ちを楽にできる様にするために
私が治療やアドバイスすることは大体同じです。

 


まずは、

 

“骨盤の前傾のし過ぎ”

 

を治療してから、

自分でできる調整エクササイズを紹介します。

 

 


骨盤が前に傾いていると、股関節そのものの角度も
変わっちゃいますから、開きにくくなって当然です。

 

 

ヘタくそで申し訳ありませんが、下の図をご覧下さい。

左が理想的な骨盤の角度で股関節を開いている図です。

 

右の方の図が、骨盤が前傾してしまい、
腰が反りすぎている状態を描いたものです。

 

 

骨盤が反り過ぎたままで股関節を開くには、
図の様に、後ろの斜め上の角度に開かなければなりません。

 

しかし、これを立った状態で行うには、
すでに腰が反っている為、お尻や背中の筋肉が縮み、
すでに力が入り動きにくい状態です。

 

さらに腰の反り具合もきつくなるでしょうから、
もはや立っていられません。

 


上の図は、膝を曲げている状態で股関節を開いていますが、
脚を伸ばして立った状態でも同じことが言えます。

 


骨盤は前傾し過ぎたり、逆に後ろに倒れ過ぎても、
股関節が自然に開く角度が変化して、開きにくくなるのですね。

 

 

腰が反り過ぎていると自覚されている方は、
結構いらっしゃるのではないでしょうか。

 

 


そして、それは先にあげました



“ポアント”(爪先立ち)

 

にも影響します。

 

 

腰が反り過ぎていると、自然と重心は前に偏りやすく、
爪先にかかりっぱなしです。

 

ポアントをするには、そこからさらに爪先に移動するため、
さらに重心が前に出されて、不安定になるのです。

 


“気を付けの姿勢から、ゆっくりと踵を上げて爪先立ちになる”

 

これを試してみてください。

 

 

もし、途中でが速く踵を上げたり、
途中でぐらついたりしたら、
それは骨盤が前に倒れ過ぎていると言うことになります。

 

 

途中で早く踵を上げてしまうのは、
グラつくところを素早く動かして、
バランスが崩れるのを無意識に防いでいるのです。

 


“股関節の開きやすさと

         爪先立ちのバランス”

 


これらは主に骨盤の過度の前傾により悪くなってしまう、

と言うことです。

 

 


前置きがとても長くなってしまいましたが、

骨盤の過度の前傾(腰の反り過ぎ)のリセット法をご紹介します。

 

いろいろある中でもシンプルなものですので、

お役に立てるかもしれません。

骨盤が前に倒れるのを前傾(図・左)、
後ろに倒れるのを後傾(図・右)と言います。

 

 

ストリートダンスの基本トレーニング、
アイソレーションを応用したエクササイズなのですが、
ほとんどの方が、骨盤を後傾させる動作が苦手です。

 

 

だいたいの方が、骨盤を後ろに倒す途中で、
何回も引っかかったり、

ぐっと力が一気に抜けてしまう部分があるんですね。

 

 

これは腰が反った状態とは逆の状態にする動作です。

 

それだけ腰を反ることばかりしてしまっている
と言うことなんですね。

 

 

それでは、

 

“骨盤の後傾エクササイズ”

 

をご説明します。

 

 

1、まずイスに座ります。


座ると坐骨が床に固定されて支点となるので、やりやすいです。


立った状態でやるのは、だいぶ慣れてからでないと難しいです。

2、ここから骨盤を前後に動かします。

 

 

3、後ろに倒す(後傾させる)のは難しいですが、
恥骨の上の縁を自分の指先で触るとやりやすくなります。


下の図の赤線でかこった部分です。

ここを触りながら、この部分を上に引き上げる様にしてください。

 

 

さて、それができたら数回繰り返してみた後、

立って、ゆっくりと爪先立ちをしてみましょう。

 

 

どうでしょうか。


少し安定していませんでしょうか。

 

骨盤の後傾がやりやすくなると、
下腹部の筋肉が自然と締まり、骨盤を前でも後ろでもない、


“ニュートラルな位置”


に自然と持ってくることができます。

 

 

“お腹と背中の筋肉のバランス”

 

 

がちょうどよくなっている状態です。

 

 

 

そのようなことから私は、

 


骨盤のアライメント(配列、位置関係)

 

を整えないままに筋トレやストレッチすることも

避けて欲しいと思っています。

 

ゆがんだままで行えば、ゆがみが強くなってしまい、
結果、パフォーマンスが下がり、

怪我の元にもなるからです。

 

 

それと同時に気になることで、

 


●太ももの前側ばっかりがすぐに張ってしまう

●ふくらはぎが張りやすく、肉離れをしやすい

●足先が内側に入ってしまう“かま足”

 


などは、骨盤の調整と共に、
足首と膝、両方を整えることが有効です。

 

 

だいぶ長くなってしまいましたので、
この件については、その(2)、その(3)に続きます!