●バレエの足使いと運動学(3)

 

前回までの、その1とその2では、

脚の内側ラインをコントロールするための

ポイントとエクササイズの紹介をしました。

 

人間の中心線に近い内側ライン

(股関節~足の親指まで)をしっかり意識できたら、

どんなジャンルのダンスにもいい影響があると思います。

 


ブレイキンならしゃがんでつま先でキープしている時、

 

ポッピンならつま先を使うスライドやクレイジーレッグ、

 

ロッキンもかかとだけやつま先だけでキープしたり、

 

ヒップホップハウスも同様、
つま先やかかとだけの変則的なバランス、

 

その他のスポーツや老人の転倒予防にまで、

誰にでも共通して必要な身体感覚かと思います。

 

 

 

 

さて、今回のテーマは

 

 

【内股の重心移動】

 

 

【足首の内側の支点】

 


についてです。

 

 


まずは、内側ラインを使った重心移動についてから。

 


両足立ちから片足立ちに移行する際、

左右の脚、股関節などの間で重心移動が行われますね。

 


それを体に覚えこませるエクササイズのご紹介です。


上の図の様に、片足立ちになる際、

必ず左右の脚、股関節などで

左右の重心移動が行われます。

 

これを前回、ご紹介した内股ラインに乗せる

エクササイズの応用編としてご紹介します。


 

上の図を参考にして下さい。

 

1、前回ご紹介した内股スクワットの姿勢から。

足先は平行か、やや内側を向き、肩幅より若干広めに立ちます。

 

2、膝を軽く曲げ、姿勢は前傾にならない様、

まっすぐに保ちます。

目線は目の高さが基本です。

 

3、図の左側の様に、その姿勢で左右に

骨盤、膝をゆっくり力を抜いて振ります。

 

10~20回ほどで結構です。


バレエの足使い・その1では

 

”骨盤を立てること”

 

を、

 

その2では、

 

”脚全体の内側ラインに乗せること”

 

を、ご説明しました。



そして今回はさらに、

 

”内側ラインにキープして重心移動すること”

 

を目的としたエクササイズになっています。


さてさて、美しく、自由なつま先立ちの動きには

それだけでは足りません。


続いて、足首の内側の支点を覚えるための

エクササイズもご紹介します。

足先から内股までのラインに乗っていないと、

上の図の様に、つま先立ちになった時に

足首が外側に開いてしまい、グラグラして不安定です。

 

いわゆる”かま足”ですね。

 

親指の付け根である

 

”拇指丘や膝の内側、内股”

 

などはそのポイントとしてよく言われますよね。

 

しかし、私の知る限りでは、

 

 

”足首”

 

 

の具体的なアドバイスは

あまり聞いたことがありません。

 

親指から膝、内股から股関節と、

足首だけが抜けてしまっている気がします。

 

私は足首こそ、非常に重要なポイントである

と感じています。

 

 

極端な言い方をすれば、拇指丘の意識はしなくても、

足の拇指の延長線上の足首の内側ポイントが使えれば、

勝手に拇指丘や拇指に重心線が乗る様になります。

 

 

今までこのポイントをアドバイスした、

バレエ・ジャズダンサーにロッカー、ポッパー、

-BOY、格闘技選手たち、そして主婦の皆さん

(アラフォー~82歳)まで、

教えたその場にて良い効果が見られています。

 

まあ、私の周りの人たちですから限られてはおりますが、

ボディバランスを向上させることに関しては、

かなり再現率は高いのではないかと感じています。

 

では、エクササイズをご説明いたします。


1、肩幅よりやや広めに立つ。

膝は伸ばし、視線は目の高さに保ち、姿勢はまっすぐ。

腰骨の下、太ももの外側辺りに両手を置く。

 

2、足先は平行か、つま先が若干内側を向く感じ。

 

3、あとは腰を切る様に、その場で骨盤をツイストさせるだけです。

 

これは腰や股関節の動き??


とも思われますが、

意外にも足首の動きが大きいんです。

 


例えば、腰を左にひねった時、

右の足首はどうなっていますか?

 

 

小指側がやや浮く様になり、

足首の内側が内側にひねられる様に、

グリッと入っていませんか?

 


それがポイントなんです!

 

 

足首は普通に歩いている時は、ここまで内側に入りません。

 

ですから、日常生活ではほとんど使われない身体操作なんです。

 

 


足首の内側を意識させる練習方法がないと、

つま先立ちからの複雑な動きをするのはどれだけ大変なことか。

 

 

土踏まずに乗せろ、

 

拇指丘に乗せろ、

 

親指に乗せろ、

 

 

などなど、脚の内側ラインを使うためのポイント

はいろいろあります。

 

しかし、それらは漠然としたイメージでしかなく、

おそらく、それでつま先立ちが楽になる人は

少ないのではないかと思うのです。

 

できたとしても、相当の時間を必要としたり、

また覚えても忘れやすいことと思います。

 

 

 

医学的(解剖学、運動学など)に見た具体的なポイント

を示せれば、それは運動のジャンルや年齢を問わず、

成功率の高いアドバイスができるのではないだろうか?

 

その様なことを考え、日々よりよいボディコントロールの

指導法の開発に挑戦しているわけです。

 

 

そしてやはりまた、このアイデアの源は

武道、空手の型からなんです。

 

私がいつもやっている型や基本動作から、

そのポイントを大げさにして体感しやすくしたものなのです。

 


もちろん、この他にも内側ラインを覚えさせる

エクササイズはいろいろあり、

その方のクセ、個性によって使い分けています。

 


中でも今回ご紹介したエクササイズは、

比較的どなたにでも一定の効果が見られたものなので、

こちらの記事にも書いてみようと思いました。

 

季節の変わり目は、体調も崩しやすく、

筋肉や関節も痛めやすいですね。

 

皆さん、よいコンディショニングで、

日々のダンス、スポーツを楽しんで下さいませ!