【運動前のストレッチは逆効果!?】

 

先日、SNS上で仲の良いストリートダンサーが、

 

“【衝撃研究結果】 運動前にストレッチすると怪我しやすくなる”

 

と言う記事をシェアしてくれていたので、そこでのやり取りから今回のテーマで、

基本的なストレッチの種類とその効果、そしてストリートダンスの中で

どの様に取り組むべきかをお話ししたいと思います。

 

まず、話題となった記事の概要は、記事の題名からすると、

ストレッチを運動前にすることが悪いとイメージしてしまいますが、

“数十秒静止する、静的なストレッチでは・・・”

と文中では、ストレッチの種類を限定しています。

 

運動前のほぐれていない体に、いきなりきっちりと伸ばすストレッチをやると、

逆に体が固まってしまいますよ、と言うことが言いたかったのですね。

 

伸ばされることに準備できていない筋肉や靱帯が、

いきなり数十秒も伸ばされっぱなしになると、

“やめろーっ!伸ばし過ぎじゃーい!!”

という様に、逆に縮まってしまうのです。

 

これを医学では“伸張反射”と言いまして、過剰に伸ばされた筋肉が

損傷を回避するために縮まると言う、一種の防衛機能なんですね。

 

これは程度の違いこそあれ、ある意味、肉離れや捻挫など、

急激に引っ張られたり、捻られたりした時と似た様な状態と言えます。

寝違えやぎっくり腰の時の筋肉の状態も同様ですね。

 

傷んでいる、または傷みやすい状態の時に、

急にねじられたり引っ張られたりしたら、筋肉が自ら縮まって、

これ以上傷めないためにギプスの様に固めて、自然に防御するわけです。

(急性の痛みがある部分を強くマッサージすると、

この現象が起きて悪化するのはこうしたことによります)

 

ちなみに内蔵が傷んだ時も同様な反応がありまして、

盲腸などの内臓疾患が起きた場合、盲腸の上の腹筋が異常に固くなります。

これも内蔵を守るための身体の防衛反応で、“筋性防御”と呼ばれています。

 

 

さて、ここで、ストレッチの種類についてざっとお話します。

 

トレーナーなどスポーツ関連の資格をお持ちの方や、

ご自身で調べた方ならご存知だと思いますが、

 

基本的に以下の3種類のストレッチがあると言われています。

 

1、スタティックストレッチ(静的ストレッチ)

2、ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)

3、バリスティックストレッチ(動的ストレッチ)

 

今回話題となった記事でも取り上げられた、

1、のスタティックストレッチが一般的なストレッチ

として理解されているのではないでしょうか。

特定の筋肉を一定の方向に数十秒間、伸ばし続けると言うストレッチです。

 

まだまだ一般的には、ストレッチって反動つけちゃいけないんでしょう?

と思われていることが多いでしょう。

 

しかし、2と3は、どちらも反動をつけて行うストレッチです。

 

2、のダイナミックストレッチは動きの中で腕や足などを

いろいろな方向に回すことで、関節の可動域を広げるストレッチ方法です。

軽くステップしながら体をひねったりする、

ラジオ体操やサッカーでよく行われているブラジル体操などが近いと思います。

 

3、のバリスティックストレッチも反動を使ったストレッチで、

一つの動作(脚を前に蹴り上げるなど)を少しずつ大きくしていき、

最終的には関節の可動範囲いっぱいに動かしていくように行います。

 

 

でも実際は、この3種類にとらわれず、いつもやっているストレッチを軽く始めて、

リズミカルに小さく反動をつけたり、なおかつあまり痛くない程度で、

止めている時間も短く(ゆっくりと3or5カウントで充分)

の範囲で行えば、とてもいいアップになります。

 

ストレッチに決まった形はなく、その場に合ったやり方で行えば、

いつもと同じ形や手順でも適切なアップになるということですね。

 

では、有効なウォームアップのやり方の具体例とは、

 

1、軽く小さい、リズミカルな反復動作(体を小さく揺らす、振る)。

2、徐々に大きく伸びやかな動作に移行していく。

3、一定時間の静的ストレッチを加えていく(スタティックストレッチ)。

4、実際のジャンルごとの動き、様々なテクニックに移行していく。

 

が理想ですね。

 

ダンス的に言えば、練習場についたら、

 

1、手首足首をぶらぶらさせる。徐々に体のいろいろな部分を軽く動かしていく。

2、軽いステップなどから入る。

3、温まってきたら、静的なストレッチを加えていく。

4、アイソレやリズムトレーニングをする。

5、振りやスキルの練習。

6、最後に補強運動、筋トレを行う。

 

と言ったところでしょうか。

 

 

簡単に言えば、いきなり早い動きやパワフルな動きはしないで、

軽くジャンプしたり、ボディリズムで体をほぐして下さいね、と言うことです。

その後、徐々に課題をやっていけばいいわけですね。

 

でも、考えてみると、

“リズミカルでシンプルな反復動作”

はストリートダンスにたくさんありますので、

皆さん実際にいいアップをされているかもしれません。

 

ブレイキンであれば、トップロックや様々なエントリーのステップ、

バリエーションを軽く行ったり。

ポッピンであれば、シャムロックやブガルーのリズミカルな動き。

ソウルやロッキンであれば、ベーシックなソウルステップ。

ハウスであれば、すべてのステップを小さく軽くすれば、

とてもいいアップになりそうですね。

 

その様に、ストリートダンスは軽~く行えば、

とてもいいアップになる動きが満載です!

 

何度も申しますが、ウォームアップに適した動きとは、軽く小さく動くことと、

“一定のリズムで反復する”

と言うことがとても重要かと思います。

 

動きの硬い人も、疲労で硬くなった筋肉も、

決まった一定のリズムで動くことにより、頭で考えずに済みます。

自動的に動きに集中できるので、筋肉は徐々に血液循環が上がり、

心地よくほぐれていくのです。

(私は格闘技選手に武道空手を教えるのに、リズムを使った稽古法を取り入れています)

 

ある程度ほぐれてくると、体の方が勝手にいろいろ動き始めますよね。

動きやすい状態になると、勝手にいい動きが出始めるものです。

 

そんな体が喜ぶ様なウォームアップで、怪我を予防し、

日々新しい発見のあるダンスをして下さいね!