●●●イベント会場などでの救急法について●●●
【 救護班などがいないイベント会場で怪我人・・・どうしたらいいの? 】
私はよくダンスバトルイベントなどに招待してもらうことがあります。もちろん救護班として、白衣と救急道具を持参しての参加です。
しかし、いつも行ける訳ではありませんし、バトルイベントは私が行っている場所だけで行われている訳ではありません。
医師や救護班などがいないイベント会場で、最低限これだけは知っていて欲しいと思う事をこちらに書いてまいります。
このことは、特にイベントオーガナイザーの方に知って頂きたいと思っています。救護班がいなくても、イベントの進行を司るオーガナイザーの方に知っておいてもらえれば、救急処置もスムースに行えるでしょうし、今後のストリートダンスのイベント全体の意識も高まってくることでしょう。
これからもますます広がりを見せるストリートダンスの世界で、スタジオを運営される方やイベントオーガナイザーの方たちが、安全管理の面でも活躍される事を期待します。
一番怪我をしやすいということ、すなわち危険度の高いジャンルと言えば、ダントツでブレイキンでしょう。患者さんでもB-BOYの割合が多いです。
ダンスイベントの中でも特にブレイキンのバトルイベントが、もっとも怪我に遭遇しやすいイベントですね。
その様な訳で、今回はもっとも危険度の高い「頭や首の外傷」についての救急法についてお話しします。
~ ブレイキンの危険な技 ~
バック転や側転などは、通常両手を床について行います。しかし、ブレイキンの難度技では、頭で着地してのバック転や側転などの技があります。これは観客からすれば「すごい!!」と言うことになるのですが、救護班の私としてはいつも冷や汗ものです・・・
他にも頭から落ちる可能性のある技はブレイキンにはたくさんありますね。
さて、実際に頭を強く打った場合、どんなことが起こりうるのか。
< 脊髄損傷 >
・意識はあるが、首から下の感覚がなく動けない
→頭の中、脳の障害の可能性は低いかもしれませんが、首の部分の『脊髄損傷』の可能性が疑われます。
・対処法
その場から動かさないことが第一です。決して首を持ち上げたり、ゆさぶったりしない様に。脊髄損傷があったとしたら、余計に脊髄を傷つけてしまう恐れがあるからです。
この様な場合、すぐに救急車の要請です。
たくさんの人で怪我人の左右両側から抱えて、首と体が一体化する様にして首を決して動かさない様にして運ぶこともできますが、担架やドアになりそうな板などがあればそれに乗せて運ぶのがベターでしょう。
しかし、実際は首の両側にタオルなどを置いて、その場にて動かない様な処置だけをして救急車を待つことがベストです。
また、怪我のショックで体温が下がる場合があります。体温が保温できる様に上着やタオルなど体にかけてあげて下さい。
< 頭部外傷 >
・頭を強く打って意識がもうろうとしたが、少し時間が経過したら立ち上がり、大丈夫そうな様子だった。
→頭部を強く打った場合、通常は24時間は監視できる状態でなければなりません。なぜなら脳の中で出血などがあっても、ゆっくりとした出血の場合、その場でははっきりした症状が出ないことがあるからです。
24時間、場合によってはもっと時間が経過してから、ひどい頭痛や吐き気、突然倒れるなどの症状もありえます。そうした場合、当然、救急車の要請が必要です。一刻を争う事態かもしれません。ともかく、事後の経過を監視できる誰かが付き添っていることがポイントです。
その他、頭を強打した後の注意点は、
・イベント後のパーティーなどでバカ騒ぎしない。
・もちろん飲酒はしない。
・風呂も控える。サウナなど絶対ダメ。
これらは脳内で出血があった場合、悪化させるものとなります。
頭部の外傷により受けた脳の障害は、徐々に進行するものもあります。直後が大丈夫だと言っても油断せず、一度は医師の診断をあおぐことです。